
< Hasselblad 907X100C Hasselblad XCD 38mm f2.5 >
暖冬で上高地行きを断念してから、私がすっかり落ち込んで居間のソファーで丸まったまま固まっているので、さすがに見かねたのか、主人が「雪探しに出かけてみる?」と声をかけてきた。
撮りたかったイメージを頭の中から払拭して、違う場所へ出かけてみるのもいいか・・と気を取り直して、長野より少し北を目指してみることにする。
ただ、急に思い立ってのことだったし日程的にも二泊が限度だったので、あまり遠くまでは行けそうになく、秋に出かけた会津の方へもう一度行ってみようということになった。
ところが、福島県も今年は雪が極端に少なかったそうで、おまけに季節外れの暖気と雨の影響もあり、せっかく出かけたのに着いた日はほとんど積雪がなかった。
雪は日陰の地面に少しだけ残っている程度で、もっと北を目指さないとダメだったかとがっかりしながら、撮影は諦めて温泉でのんびりすればいいやと、半ば開き直るしかなかった。
ところがその晩、急に冷え込んで、夜半から深々と雪が降り出した。
写真の神様が、落ち込んだ私にくださった特大のプレゼントだったのかもしれない。
朝起きた時には、一面の銀世界になっていた。
東京の湿った重たい雪と違って、風に舞うような細かい粉雪は樹々の細い枝の上にふわりと載って凍りつき、繊細で美しかった。

撮影の前日、到着日に同じ場所で撮ったのがこちらの写真。
一夜で全然違う光景に変わりました。
撮影地は
福島県下郷町 塔の岪