< 撮影機材 Hasselblad 907X 100C Hasselblad XCD 38mm f2.5 >
なんでもない道端の木立だけれど、車を走らせている時にふと目に留まった。
雑木林でも杉林でもない針葉樹の林はもの珍しいのもあって、車を停めて雪の中に降り立つ。
さっきから車を走らせては道の途中で停まり停まりして、もう何回目だろう。
対向車にも出会わないような閑散とした林道だから、安心して目線がファインダー化したみたいで、道沿いの木立や森の様子がやたらに気になってしょうがないのだ。
道のりがなかなか進まないことに少し気がひけて、車に残した人の様子を見る。
しばらく前にシートヒーターを入れたから、車の座席はぬくぬくと居心地良くなっていて、中の人は長閑な顔をして仕事先のメールチェックをしている。
うん、ノープロブレムだね、なかなかにいい状況・・・心おきなく撮影モードに入れそう。
私の方は、耳がキーンと痛くなるような冷たい風の中だけど、この感覚と緊張感は嫌いじゃない。
雪空に夕暮れが迫ってきていて、この日最後のシャッターチャンスだった。
なんとなくこの景色は一日の良い締めくくりのような気がして、いつもより少し丁寧にシャッターを切った。